忍者ブログ
詩生活/詩ハトモダチ
1 2
[  08/09  [PR]  ]
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

[  05/12  pourquoi pas  ]

みどりいろのきせつが
やって来て

きょうは文句たればかりだと
文句ををたれて行く

みどりいろのきせつは
案外
強情で薄情だけどいいやつ

ミントジュレップというより
ティパンチのような日に

片目を腫らしてやって来て
大声で泣きながら
公園のフェンスによじのぼる
変わり者










PR
[  04/13  金の釦  ]

きんいろのボタンが
エレベーターのボタンみたいに
きれいにまっすぐにのぼっていく

スカートの膝小僧のうえに
まっすぐにならぶ
きんのボタン

熊本の大きなデパートの
頬のふくよかなエレベーターガール
いいかんじの制服

ていねいにしんせつにやさしくほほえんで
手袋をはめたゆびさきで
わたしのかわりに押してくれる行き先

おじいさん
おばあさん
お土産やお祝い
日々に内包された特別なある日

立ち止まる
あるいは
行き交う人々

隣人や友人
子ども達

職場や家族

きんいろのボタンが留めているものたち
わたしのスカートの前にあるものたち

自転車をこいでわたってゆく景色
小麦粉がはこぶ香ばしい香り












入り江に潜り込んでゆく景色のような模様が皿の上に描かれていた。青と金の手描きの線の上に農夫のにぎりこぶしくらいの赤っぽいジャガイモが、泥のついたまま放置されいている。ジャガイモを誰がはこんで来たのか僕はしらない。

おとといは、あさってには出発する予定だと言っていた宿屋の主人らしき男も、従業員達も、ただ落ち着かない様子で行く先々での心配ばかりしていた。不吉な言葉を言いあっては耳を塞ぎ、延々とネズミの形のビスケットを食べ続けている。

女主人が大鍋でトマトのスープを煮込んでいた。ひとつ足りないジャガイモについて妙な歌を歌っている。泥棒と子豚と足の生えたジャガイモ、詐欺師、薬剤師、巨大な蛸と勇者の物語、夏の夜中に咲く花のことについて。それらが走馬灯のように回転している歌だった。

翌朝、しらない男に起こされ、出発するから今すぐ支度しろと怒鳴られた。僕はゆっくりと寝床から起き上がり視線の先の窓を眺める。窓の外の景色は昨日までとはまったく変っていた。赤っぽいジャガイモのような地面が地平線まで続いていた。

年代物のバスが宿の前までむかえにきていた。宿屋の主人も女も従業員達も、しらない男もみんな先に乗り込んでいた。地面がとても熱くて靴の底が溶けそうだった。バスのタイヤが使い物にならなくなるのは時間の問題だから早く乗れと怒鳴っている。はやくはやくはやくと怒鳴っている連中は相当に怒っている様子だった。何に対して怒っているのか。グラグラと煮立ったスープの鍋があぶくだらけになってあちこちに散乱している。けれどもう誰も片付けようとする者がいない。

とにかく全員が乗り込んだというところでバスは出発した。タイヤよりも先に、もうエンジンがダメになりそうなバスだということが明らかになり僕も腹が立った。誰に何と言うべきか。

窓からの景色は昨日までとまったく同じ様に見えたり、じゃがいもの荒野に見えたり、タイヤやエンジンがぐらぐらする度に、ぐにゃぐにゃと入り交じり、胃の奥の方からピリピリした炭酸水が噴き出しそうだった。やっと入り江に面した丘が見えてきた。丘の上には黒い子豚が小さな祈りを捧げる為の棒切れのような神殿が建っている。棒切れのように見えるのは昔に焼け焦げたものをそのままにしてあるからだ。人びとは忘れない為にそのままにしたのに、覚えている者の多くは死んでしまった。日に焼けた黒い子豚のつぶらな瞳に、怒鳴りあう人間や間抜けな僕が映し出される。エンジンは朦々と煙を噴いてやっとそこで止まった。











[  03/30  A’  ]


こどもたちを守るひとの
厚みあるてのひらにきざまれた
深いしもんのながれにくわわるように
おおきなうねりが
きびしくここちよくひびきわたる

あとずさるとおっこちる
もどらないじめんの
なんてしっかりとした
そして うそのない

ふざけた
まじめな
やさしさ
かろやかに
うきあがり
しずむ
沈殿の眼のなかに
どうしようもない
かがみが
審美する
どうしよう

まよわないうそ
すきなことをすきなひとが
すきだと
まっすぐにつたえる
いのり

トンネルをでると
小学校があって
しろい運動靴のまるいあたまたち
河馬の水浴びを
よろこんでながめる










[  06/11    ]

蟹が手を振る浜辺で

海水をかけた白ごはんに箸を立て

ぼくたちは向かい合っていた


蟹はレコード盤上を縦に歩く



レコード盤と蟹の話をして以来

仲間から「カニ君」と呼ばれていた

こどもの頃



蟹のハサミの切れ具合は
どのようなものだろう
蟹を食べるくせに
そんなことも知らないで

泡をふくばかりでは

蟹に申し訳ない



白いごはんから箸を抜き取ると

渡り鳥が一斉に飛立った

光は乱反射して

あちらこちらに散乱した


景色の外になげだされた

溶けだした花氷に群がる

のどが渇いたひとびと


背筋にたれるひとしずく

一喜一憂しながら

まだ競争してる



小瓶に閉じ込めた手紙は
どこへ漂着するだろう











Je suis Bouton de pivoine
HN:
pivoine
性別:
女性
趣味:
J'aime la lecture,faire des vers et dormir...
自己紹介:
コンニチハ
竹村はなびと申しマス
詩はわたしの日々の断片です

人生においては、詩を愛するよりも、現実を愛することから始めなければならぬ。

もとより現実は常に人を裏切るものである。しかし、現実の幸福を幸福とし、不幸を不幸とする、即物的な態度はとにかく厳粛なものだ。詩的態度は不遜であり、空虚である。物自体が詩であるときに、初めて詩にイノチがありうる。

坂口安吾「恋愛論」より

Ecrire est un acte d'amour.
S'il ne l'est pas,il n'est qu'écriture.

Jean Cocteau
extrait de La difficuluté d'être
twitter
Quel jour sommes-nous?
07 2026/08 09
S M T W T F S
1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31
On cherche quoi?
le compte

忍者ブログ [PR]
"pivoine" WROTE ALL ARTICLES.
PRODUCED BY SHINOBI.JP @ SAMURAI FACTORY INC.