詩生活/詩ハトモダチ
Anthropomorphic landscapes Ⅰ
とびらを開けると un bel di,vedremo がきこえた奥の部屋へと続く とびらのまた向こうからきこえる
この建物にはとびらがたくさんあり どのとびらも
開かれるのを 拒むようでいて また 待ち望んで
いるようでもある
建物の内部ではいつも なにかしらの音楽が移動し
ている 匂いも 空気の震動によって 常にうごい
ている
眼球の如きテーブルが ぎょろぎょろ 辺りを見回
している 寝起きの巨人の 髭のような カーテン
シーツ 脱ぎ散らかした ローブの ひだのたぐい
浴室 台所 下水へと続く ゆるやかな曲線 電気
コードの 絡み合う 束の 赤 黒 白 黄色 コ
バルト
もうすぐ 何かがはじまろうとしている 前にも
聞いた いつも 誰かが口にする まじないのよう
な ことば 良いことなのか 悪いことなのか 誰
もいちばん深いところには 届かない まま 何か
何か 何かが起こる ことだけ 明確にして 自然
の猛威にさらわれた 人間の数を越えてゆく
我々
に内包された力は 姿を変えて ある 晴れた日に
あらわれる 空を見上げれば 雲が 恐ろしい顔を
していた
Anthropomorphic landscapes Ⅱ
真空チタンのカップにビールを注いでくれる友人
うすくスライスしたカラスミをあぶりながら
ニューヨークに住む音楽家がつくった歌をハミングしている
少し音程がはずれても それは それで 魅力的
白いシャツからのぞく 逞しい民族のモチーフ
細い腕が アンバランスでも
それは それで よく似合っている
海を眺めながら スタートレックに登場したゲームを
5回して 日が暮れるまま バルコニーでさらされる
水平線と 空と 雲とが フルートグラスにかさねられた
ゼリーみたいに透き通っていく
真っ暗な宇宙空間に 吸い込まれて おなかが空いた
空っぽになって
心地良く使い古された 木べらで
じゃがいもを うらごす
お皿に残った 混沌のソースを
掬って きれいに さらう
Anthropomorphic landscapes Ⅲ
おばけのことを決して 馬鹿にしてはいけないと言った
おばけばなしが怖いのは おばけが こわいのではない
奥底に眠る 人間の 垣間見えるのが 恐ろしいのだと
PR
「違う生き物なんだ」そんなことは知っている。しろい壁に背中をおしつけて刃物の先端がどちらの方向を好むのか。「どちらでも同じだ」そんなことは知っている。息苦しい寝室の陰鬱な朝のひかり不快きわまりないひと時の苦痛。サルーは新しい小説を書き始めたことをすでに後悔していた。昨日のメモに目を通しながらぬるい褐色のビールを飲み込んだ。
離れることが最善の休息。逃げることも、休息。
おかあさんがよごれてしまった。それはちがういきもののせい。ちがういきもののせい。あいつらはちがうほしからやってきてちきゅうをはめつさせるつもりなんだ。あいつらは「あんこくのうちゅうていこく」からきたんだっておかあさんが。ねえ。サルーの部屋には近所の子供たちがよく出入りする。目当ては洋酒の入ったチョコレートボンボン。青白い顔のロリスは1度に5個も口に入れる。彼はそのあと、あたまがクラクラするのが好きだ。サルーのことは好きではない。サルーのうつろな目つきがおそろしくて、すぐに部屋から出ていきたくなる。大急ぎでボンボンを口に詰め込むと、明日のためにうっすら愛想笑いを浮かべ走り去るのだった。
子供たちが出ていったあとの床にはカラフルな包み紙が散乱している。カーニバルが通り過ぎた後の亡霊のような興奮のぬけがら達。熱気の幽霊を思い出す。停滞する淀んだ記憶の空間。ぬるい褐色のビールから饐えたような匂いが鼻を突く。いつ買ったものだかも覚えていない。キッチンから排水溝へすべて流した。
翌日こどもたちが部屋へやってくると ねえねえ。おへやがへんなにおい。へんなにおいだよ。おならした?おならよりくさくてひどいにおい。あたまがいたくなっちゃう。あいつらのせいかな。ちがうほしからきたわるいやつ。ちきゅうをせいふくするためにほろぼすやつ。くさいね。おへやくさいね。やつら。ねえ…。急に静かになったかと思うと、こどもたちは皆チョコレートボンボンをひとつも口に入れぬまま次々に眠り込んでしまっていた。
答えは「どちらでも同じ」ではないということ。そんなことは知っている。あたらしい寝室のあかるい朝のひかり快適なひと時の幸福。離れることが最善の休息。逃げることも、休息。
サルーは最後の行を書き終え、開かれるための窓を開けた。
まるでしましまのしまのなかでおよぐ
しましまのさかな
しましまを追っかけて
ぼくたちの「おおやけ」は大火傷を負い
しましまはさえずる
ぼくたちのバカンスは
しましまの親衛隊
ぼくたちのアイスキャンディが溶けている
しましまの日曜日
ぼくたちは手をつなぎ
しましまの旗をひるがえし
ぼくたちは眠る
しましまが逃げるなら
ぼくたちは網をたずさえ
しましまをつかまえにいく
ぼくたちの自由
賑やかな夜に便乗して
おそらく
あなたに甘えて
笑ってばかりいて
少しくたびれて
夜の風にあたる
あなたが少し驚いたリ
目をふせたりするのを
じっと眺めながら
なにを考えてるんだろって
考えてる
いつも
シャンパンの泡のような花のトンネルをぬけると
階段があって
階段はコンクリートでできていて
ところどころが欠け落ちていた
すり硝子の幾何学模様を指で辿るように
錆びた手すりの感触を確かめる
赤茶色の金属の匂いが
マチ針を刺す
馬の蹄鉄を穿ってやる
鑼のように鍋を鳴らす
恋人達は深夜零時
思い出を食べあい
消えてゆく為の
祝宴をくりかえす
あなたの足の親指の骨の出っぱったところが素敵だとか
きみのひんやりとした脇腹の脂肪がたまらないだとか
ほっぺをつねりあう 鼻をこすりあう 髪をひっぱりあう
思い出に飽きる頃nemuriがやってくる
■
sex pistolsのようなオレンジ色のあたま
小さなナイフと一緒にバスルームで待っている
rocksteadyのリズムに乗って
バスタブにシャンパンを流し込む
恋人同士を他人同士に戻してやるのが仕事
稼いだ小さなコインは泉に投げ込む
「もう少し背が伸びますように」
ちいさなnemuriの小さな願い
■
シャンパンの泡のような花のトンネルをぬけると
階段があって
階段の先にドアがあって大きな音の
マネキンのような人体
ところどころ剥げ落ちた先から
指に伝わる体温の蒸気
待合室のソファーのスプリングに
尻を乗せて数センチ浮遊する
カーペットの色について
toilet paperがホルダーを鳴らしながら
ほそく しろく たなびく 青空の下
ネズミがカリカリ齧り続けるデザインの
明日の朝の目覚まし時計という名前の
新しいTシャツを着た
ガブリエル
おはよう
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Je suis Bouton de pivoine
HN:
pivoine
性別:
女性
趣味:
J'aime la lecture,faire des vers et dormir...
自己紹介:
コンニチハ
竹村はなびと申しマス
詩はわたしの日々の断片です
人生においては、詩を愛するよりも、現実を愛することから始めなければならぬ。
もとより現実は常に人を裏切るものである。しかし、現実の幸福を幸福とし、不幸を不幸とする、即物的な態度はとにかく厳粛なものだ。詩的態度は不遜であり、空虚である。物自体が詩であるときに、初めて詩にイノチがありうる。
坂口安吾「恋愛論」より
Ecrire est un acte d'amour.
S'il ne l'est pas,il n'est qu'écriture.
Jean Cocteau
extrait de La difficuluté d'être
竹村はなびと申しマス
詩はわたしの日々の断片です
人生においては、詩を愛するよりも、現実を愛することから始めなければならぬ。
もとより現実は常に人を裏切るものである。しかし、現実の幸福を幸福とし、不幸を不幸とする、即物的な態度はとにかく厳粛なものだ。詩的態度は不遜であり、空虚である。物自体が詩であるときに、初めて詩にイノチがありうる。
坂口安吾「恋愛論」より
Ecrire est un acte d'amour.
S'il ne l'est pas,il n'est qu'écriture.
Jean Cocteau
extrait de La difficuluté d'être
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