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詩生活/詩ハトモダチ
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1-1 真夜中の温度計
ミクララムラハウスの電話が鳴る
時計の針は深夜1時25分
温度計の針は摂氏23度
湿度計の針は75%を指している

1-2 湯沸かし器
笛のついたヤカンを火鉢に掛けておくので
年中湯の沸きたつ警笛のやかましいこと
青白い口火が酸素を奪うので息苦しいよ
そのままでいいのよさわらないで
いいこだからそのままさわらないの
いいこね

1-3 発酵
年中イーストを水に溶いて
窓際へ置いてあるのが疎ましい
ブクブクブク

1-4 部屋の中の蘊蓄
彼女の平衡感覚によると
この部屋は右に25度傾斜しているそうだ
試しにビーダマを転がすと
そのガラス玉は斜面を登る

2-1 蓄音機
彼女はレコード盤が終わったあとの
同じ周期の雑音がゴソゴソいう音で
オルガスムに達すると言う

2-2 アフォガート
溺れなくちゃ助かりっこないじゃない
溶けてしまいなさいよ

2-3 溺れる夜光虫
phosphorescence

2-4 風上の炎上
海水から塩分を
人間から骸骨を
搾取せよとの指令

3-1 星の百貨店
ご希望のビームを暮らしの中に

3-2 宇宙三輪回転木馬
宇宙は「キャバレー牧場」の送迎運転手の職に
もう少しで近づけそうだったのにあきらめてしまった
自分をこのまま三輪車の上で傷つけてしまいたかったが
勇気がないので今日も回転木馬の肩代わりをして
西部劇ジョニーのネルシャツのほころびを縫っている

3-3 腹上死
上原大五郎氏、念願叶ったり
煙草を燻らすユミコ
受話器に手を伸ばす
窓の外では戦争が始まった
爆撃の振動で上原の二の腕がふるふると揺れている

3-4 上原大サーカス団大観覧車御礼祭 
上原は派手な男であったので金に任せ妻に猛獣を飼育させていた
熊や虎や大蛇はみんなミクララムラハウスの庭へ連れてこられた
庭で鎖を解いてやると遠くの遊園地の観覧車が仕掛け花火の様に
順番に爆発を始めた。裏の神社からお囃子の太鼓や笛が聞こえる。
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深夜のデート
上着のポケット
貴方のユビに
カラメルユビサキ

食後酒アトの
アマイクチビル
テーブルの下で
カラマルアシサキ

明日はオヤスミ
ニギヤカナ夜
ネムラナイ街
休日前の
アマイクチヅケ

街のアカリに
浮かんだような
大きな窓の
ホテルの部屋

いつもと同じで
少しウンザリ

いつまでも
貴方といれたら
きっとたのしい
それだけなのに
ほんとうよ

あの砂場のかどで
干涸びたするめを
くわえているのが
りりちゃんです

りりちゃんは
するめがすき

ねこより
いぬより
するめがすき

かたいするめと
おじいちゃんがすき
おじいちゃんのらくだもすき 

おじいちゃんにおねがいして
らくだをかしてもらった

りりちゃんのマフラーは
おじいちゃんのらくだ
かっこいいね
労働の回転と輪廻と作用
アナタハナニジンデスカ

優越が絶望と名乗るのなら
それが人類文明の姿アメン

生産よ流通を製品を
工場を労働を街を

衰退よ余剰を超過を過剰を
削減を活気を閉鎖を機能を

ちいさなパン屋で男の子が生まれ
両親はパンを焼きその男の子を育てていた
男の子は両親の焼いたパンを食べて育った
男の子はそのパンが好きだったけれど
やがてパンを食べるのが難しくなった
パン屋でも

その頃パン屋の店先では
マリーアントワネットがケーキを売っていた
「みなさーん!パンがなければケーキをお食べなさい!」

パンなどまるで役に立たぬと言って庶民がこぞって
滋養なきものに慣れ親しもうと労を惜しまぬ姿を拝見するに
それはなにやら魅力的な死の香りを漂わせているものだから
ものめずらしさも手伝うのでしょう

ケーキには蠅が五万とたかり
もう蛆が湧いているのだから
既にめずらしくもないのだけれど

死の衝動ももはやそのくらいのものになって
大きな流れを寸断するばかり
辟易しても迫り来る廃頽のグルーブ
 

あれからただいまは
夜中の暗い台所で
のぞいた冷蔵庫の
あかりに言ってる

喉が渇いていて
すぐには眠れそうになく
かといって
シャワーを浴びるには
体が冷え過ぎているから

そのまま上着も脱がず
少しずつゆっくり氷が溶けてゆくのを
眺めながら一日を思う時間

君のことを思い出そうとしたけれど
なぜかピスタチオの黄緑色が
どこかの海岸で見かけた
若くてきれいな混血の女の子の
ちいさなビキニに見えて
すごくドキドキするんだ
君の顔なんてもう思い出せなくなっちゃった

おかしいな
君はとても美人で
僕は君の顔がとても好きだったはずなのに

一人暮らしってこんなものだったって
気がついたのもその夜だ

君は自由を手に入れたかな?
僕がいなくて君は自由かい?

僕は少しだけ少年に戻ったように
気楽で不安定でそれから…
少しワガママになって案外友達が増えた

いらない苦労はしないほうがいいよ
肌は荒れるしシワも増える君だって
自然の摂理というやつは無差別で矛盾がないのさ
君がよく口にする平等ってものの正体かもしれないね

想像してごらん海辺を颯爽と横断する魅力的な女達は
次から次へと生まれては成長し君を追い越してゆくよ
留守番電話の君の声はまるでもうおばあさんみたいだ
ほんとだよ

夜中の冷蔵庫のあかりはやさしくて
月光の様に謙虚で慎ましやかで少し色っぽい
つい言いたくなるんだ「ただいま」って
バカげてるけど大切なことさ
Je suis Bouton de pivoine
HN:
pivoine
性別:
女性
趣味:
J'aime la lecture,faire des vers et dormir...
自己紹介:
コンニチハ
竹村はなびと申しマス
詩はわたしの日々の断片です

人生においては、詩を愛するよりも、現実を愛することから始めなければならぬ。

もとより現実は常に人を裏切るものである。しかし、現実の幸福を幸福とし、不幸を不幸とする、即物的な態度はとにかく厳粛なものだ。詩的態度は不遜であり、空虚である。物自体が詩であるときに、初めて詩にイノチがありうる。

坂口安吾「恋愛論」より

Ecrire est un acte d'amour.
S'il ne l'est pas,il n'est qu'écriture.

Jean Cocteau
extrait de La difficuluté d'être
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