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詩生活/詩ハトモダチ
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地下鉄が地上から地下へ潜る
風圧が生暖かく内股をなでる
臭い飯だと知らずに食べているということも知らず
知らず知らずのうちに皆帰る家が無い

トランペットからは肺病の匂いがしていたので
取り憑かれた様になって男もまたあちこちの電柱にぶつかりながら
犬の様にして欲しいと泣き叫ぶ女の暗い部分に懐中電灯を照らし
バス通り沿いの青果店の店先で微笑むサクランボの明るさを探していた

日中は晴れて夕方から深夜にかけては雷雨
明日の約束が不意に消えていったので
追いかけるようにして盛り場への急な階段を駆け下りて
明日の約束の空白を埋めるために始めから
目の潰れそうな質の悪いアルコールで注射針を消毒するみたいな素振りで
腕まくりして血管を叩いて乾いた大地に足踏み鳴らす瞳孔開かせた民族の祈りに
少しでも近づけるよう心をこめてお願いしながら宝くじ買うのだけれど

ドイツモコイツモフテクサレテイヤガル
もしくはパー子かパー介か
地下鉄の排気口からゾロゾロっと出てきて
スロットマシーンの前で「777」と口ずさむ
ポリティックとメルヘンの共存が
ナイフの突端で滴っていたって
リズミカルな歌のように怒鳴り散らして
ある女なんか「わたしにもやらせてよ!」と金切り声で喚き散らし

雨雲がグングンに水分を蓄えて黒く黒くカラスの内蔵のように黒く
イカスミ吐き出すOLのように黒く
ユウキダセ
フテクサレテモヤツラ皆カオハマエニツイテイルノダ
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[  06/28  37.5°  ]

どうぶつのように
あなたの体温を
肩や腕や手のひらで
うけとめてあたためて
その鼓動が
指先から伝わってくると

体温は幸福な匂いをふりまいて
何か大切なことを忘れさせてくれる

頭の中の大切なはずのことたち
大切という顔をした
たぶん別の何か

歯磨き粉のチューブから月曜日の朝
ステンレスの流し台へひねり出される
行儀良い薄荷の香りみたいな顔で
すましてるイケスカナイヤツラ
サヨウナラ

37.5°の世界で
じっと抱き合っているのは
充電されてる電池みたいな気分
内側から熱くてそれは赤い気分

体温でいっぱいのカラダは
大切なことで満たされてゆく
[  06/17  caterpillar  ]
くたびれて
ねむい

かたびらのように
薄い

風にさやさや
ゆれる

くたびれて
しずむ

かたびらのように
涼しい

宵にうとうと
ゆらぐ

とろとろとしずか
沼の泥みたいに

醗酵の隙間で
壁紙のような現実が
くたくたと剥がれゆく

いつまでもいつまでも
続くようなそうでもないような
白い光に照らされた
ながくてしろい平淡な壁

夏のはなびら
水面にうかぶ
流れゆくスピード

ちいさな渦巻き
盤上を旋回する
G線上のアリア

蛹になあれ
蛹になあれ
聖なる毛虫
場末の酒場の
サーカス小屋みたいな
おんぼろのステージで

観客は興奮したら
死んでしまいそうな
爺さんばかり

そこで身につけた
衣服や装飾品を
脱ぎ捨ててゆくのは
とても詩的なこと

まるで昆虫が脱皮するように
それは成長の過程のヒトコマ

ストリップ劇場の外では
男も女もその他大勢
何か脱ぎきらないまま
抱き合ったり潰れたり

爺さんはもう若い女の肉体を
憧憬するというよりも
背後に渦巻く古典的な愚かさに
色気を感じるのだという

幕間のコントが爆竹の様に
けたたましく走り去り
ストリップ嬢の絹の靴下にもぐり込んだ

女の匂いが火花のようにパチパチ衝天したので
爺さん連中は学生運動の角材で殴られて
気絶した夜のことを思い出しながら
アレヨという間に昇天してしまった

幕が引かれスポットライトがあたると
女は自分の生立ちで漫才をはじめた
秀才肌だが自慢話と悪口ばかりの8才年上の男に
いつも低能だと罵られていたせいで
すっかりマゾヒスティックになってしまった夜のこと

子供の頃に遊んだ公園の滑り台が
蛸のフォルムをしていたせいで
曲線と吸盤の快楽を知ってしまった夜のこと

真夜中のキッチンで冷蔵庫を開けた途端に
紙パックの牛乳が倒れて床一面にぶちまけたその夜更けに
ミルクアレルギーになったこと

あたしには夜の記憶しかないんです
脱いでも脱いでもなんにもでてこないのは
あたしっていう人間がつまらないからなんだと思って
おもしろいひとになりたくて漫才を覚えたくて
いっぱい本も読んだけどみんな忘れちゃうんです

レーニンは「大衆化された芸術ってやつが持ってるようなものは、どんな要素もサーカスの中にみんなあるじゃないか」みたいなことを言ったってそういうことを、あの秀才肌の男がちょっとだけ出世してTVで喋っているのを見ていたら、あたし、眠れなくなっちゃって、このステージは世界の一点で全体なんだってわかったらおばあさんになるまでここを愛せるような気分になって夢でも見てるみたいにうっとりして毎日ストリップしてるんです。

見せるものなど何もないけど
[  03/09  あい  ]
愛は かわいらしいもの
愛は こころづよいもの

愛は たくましいもの
愛は じゆうなもの

愛は そらをとび
愛は ふかくしずむ

愛は あっけらかんとしたもの

愛は ひとをもうもくにし
また ひとをかしこくする

愛は せつないもの
愛は やわらかなもの

愛は 瞬間か
或いは 永遠か

愛は うれしいもの

愛は ジャンプする
   逆立ちだって

愛は たのもしいもの

愛は てんらくする
愛を めのまえにして
愛を またずに

愛は かなしいもの

愛は あめのようにふりだすもの
愛は あさひのようにさしこむもの

愛は うまれるもの
愛は そこにあるもの
愛は ころがっている

ふとんのうえや
つくえのうえ
カーテンのすそにぶらさがり
いえいえのまどをかざるもの

愛は 泉のようにあふれくるもの
愛は みちみちるもの

愛は のびのびのびるもの
愛は ポケットの中の他愛ない1枚のコインに方向性を与える

愛は げんきなもの
愛は くりかえすことをやめない
Je suis Bouton de pivoine
HN:
pivoine
性別:
女性
趣味:
J'aime la lecture,faire des vers et dormir...
自己紹介:
コンニチハ
竹村はなびと申しマス
詩はわたしの日々の断片です

人生においては、詩を愛するよりも、現実を愛することから始めなければならぬ。

もとより現実は常に人を裏切るものである。しかし、現実の幸福を幸福とし、不幸を不幸とする、即物的な態度はとにかく厳粛なものだ。詩的態度は不遜であり、空虚である。物自体が詩であるときに、初めて詩にイノチがありうる。

坂口安吾「恋愛論」より

Ecrire est un acte d'amour.
S'il ne l'est pas,il n'est qu'écriture.

Jean Cocteau
extrait de La difficuluté d'être
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